小池都知事の責任転嫁的言動が感染拡大を招く

コロナによる死者が9日、4千人を越えた。3千人を超えた昨年12月22日から20日足らずで1千人増えたことになり、感染拡大で死者の増加ペースがさらに早まった。

 

新規感染者の急拡大に渋々、緊急事態宣言を発出した菅首相であるが、その一方で管首相と意地を張り合う中で時間を浪費させた小池都知事にも非があった。

 

北海道の鈴木知事は11月26日から、営業時間短縮だけでなく、札幌市内の接待を伴う飲食店に12月25日まで休業要請し、大阪府の吉村知事も飲食店など11月27日から夜9時までの時短徹底を求めたのに対して、一方で小池都知事はどうであったか。

 

酒を出す飲食店の営業時間を夜10時までとするにとどまっていた都に対し、政府の分科会から夜8時までの時短要請を求められてきたが、小池氏は「現実は厳しい」と応じなかった。

 

危機の重大局面でも小池都知事は、政府と協調するどころか、政治的な駆け引きに持ち込んだ。それだけではなく、小学校の教室に貼るようなスローガンばかり作り、無為無策の都政にしてしまった。

 

菅首相がGoToトラベル全国一斉一時停止を決めたのは12月14日で、政府の分科会が感染拡大地域について「一部地域の除外」を最初に求めた11月20日から約1か月も経過していた。

 

その理由として、菅首相が経済に対する強い思いが政策を止める判断を鈍らせたこと。もうひとつは、大規模感染の中心地である東京都は真っ先に「除外」の対象となるべきなのに、国と都が「両すくみ」に陥って議論が進展しなかったことだ。

 

分科会の提言を受けた菅首相が「まずは知事に判断していただく」と述べると、大阪府や北海道は即座停止に応じたが、東京都の小池知事は「国が判断すべき」と繰り返し、政府に決めさせる構図にこだわりつづけた。

 

12月1日小池知事と菅首相のトップ会談の直後に「65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人に利用自粛を呼びかける」という合意がなされたが、全く非科学的な内容を平然と打ち出した。

 

若い人の移動が感染を拡大する要因になっているにもかかわらず、さして移動もせず2次感染を起こしてもいない高齢者を止めるのは、原因と結果を取り違えるトンチンカンな選択だった。

 

この間、北海道と大阪は感染者数が減少に転じ、逆に東京は感染拡大してしまった。小池都知事のコロナ対策が後手後手であり、そのパフォーマンス優先の責任転嫁的言動が1都3県の緊急事態宣言を招いてしまった。