2009-01-01から1年間の記事一覧

医師不足解消に、医師でない医療専門職が治療する

最近、医師不足が深刻化している中、医師に代わって軽い怪我や風邪などの簡単な初期診療を看護師に担わせようとする動きがある。この看護師のことを「ナース・プラクティショナー(診療看護師、NP)」という。NPは、米国などで広く活躍している。 米国では、…

科学より国益を優先させたCOP15は失敗に終わった

地球温暖化の影響とみられる気候変動で、身近な果物に異変が起きている。四季の寒暖の差が減少しため、色づきなどの品質が悪くなったり、果肉がやわらかくなったり、従来の季節に食べられなくなったりする事態が生じている。世界各地の農作物にも、さまざま…

芸術文化振興に寄付免税の見直しが必要

行政刷新会議の「事業仕分け」で、新国立劇場運営財団に業務を委託している独立行政法人「日本芸術文化振興会」への助成金をはじめ、芸術家の国際交流や、学校への芸術家派遣などに対する芸術文化事業予算が縮減・廃止と判定された。これに対して、著名クラ…

女性や高齢者の活用が、持続可能な経済社会を実現

日本は、経済効率を優先した企業中心社会を形成することで経済発展してきたが、一方でその弊害や問題点が多岐に亘っている。特に企業中心主義は、企業組織の論理を優先するため、生産活動を支える就業者の生活全般が企業と一体化し過ぎており、弊害が大きい…

事業仕分けが「お任せ民主主義」からの脱却を促す

行政刷新会議の「事業仕分け」が国民の大きな関心を集めた。国家予算の査定の様子がすべて国民に公開されたことは画期的で、費用対効果の分からない事業に無駄な税金が使われていたカラクリがあぶり出された。「事業仕分け」は、行政評価の手法として有効で…

社会貢献を志向する企業が成長する

市場経済の暴走で深刻化した世界同時不況に見られるように、企業の使命が利益追求だけではないことが明らかになった。株主重視の短期的利益を追求する企業よりも、社会貢献への取り組みを重視する企業の方が、リスク管理能力が高いため、中長期的に成長する…

仕事しながら社会貢献する「プロボノ」が広まっている

NPO先進国であるアメリカの事例や実情を見ると、日本にも是非、広めたい社会貢献活動や法制度が多くある。日米間のNPO事情に関するいくつかの事例を以下にまとめてみた。 《プロボノ》 アメリカの専門家や企業社員は、仕事を通じて培った専門的な知識やスキ…

海洋酸性化で失われゆくブルーカーボン

飛行機が燃料の半分以上を使い切ってしまい、元の出発基地に戻ろうとしても帰還できない地点を「ポイント・オブ・ノーリターン(帰還不能地点)」という。 気候シミュレーションによると、人類以外で多くの生態系が破壊される「ポイント・オブ・ノーリターン」…

持続可能な農業に求められるものは

山の斜面や谷間の傾斜地を利用して階段状に造られた棚田は、日本の原風景である。山紫水明な山間地帯で作られる棚田米は、美味しい。水源近くのきれいな水で栽培するため、ミネラル分が豊富であること、そして昼夜の寒暖差により稲がゆっくりと熟し、ハサ架…

ヒューマン・ニューディールで安心社会を創る

米国がレーガン政権以来、推し進めてきた新自由主義経済は、富裕層を優遇することで、貧しい者にも自然に富がしたたり落ちる(トリクルダウン)という「トリクルダウン効果」を謳った経済政策に基づいている。豊かな人がより豊かになれば、そのおこぼれによ…

ソーシャルビジネス支援に社会株式市場の創設

前回の記事で、「意志のあるお金」が持続可能な社会を促進させることから、SRI(社会的責任投資)市場の拡大が重要であると書いた。企業もまた、持続可能な社会の実現に向けてCSR活動の取り組みを進めている。CSR活動を評価するSRIインデックスは、企業が何…

意志のあるお金が実現する持続可能な社会

リーマンショックで広がった世界金融危機は、ヘッジファンドなどの投資家が短期売買を繰り返す強欲な金融資本主義によって引き起こされた。すべての投資家が環境や「社会的な利益」に配慮した投資を行っていれば、未曾有の金融危機は起きなかったかもしれな…

殺処分ゼロの動物愛護を考える

動物愛護週間に因んで、ペットの殺処分をTV番組などで取り上げる機会が増えている。飼い主に捨てられ、保健所など行政施設に持ち込まれる犬猫は、毎年約30万匹殺処分されている。命ある犬猫がまるでゴミのように処分される。殺処分で使用される炭酸ガスによ…

「市場の失敗」や「政府の失敗」をリスクヘッジする「寄付社会」の創造

寄付文化が進んでいる米国では、寄付金総額がGDPの約2%を占めており、その約8割が個人寄付金である。ボランティア精神が旺盛なため、政府の支出に比べてはるかに大きい民間・個人からの寄付金が、医療、福祉、教育などを支えている。また一方、福祉政策を重…

寄付税制の拡充が、寄付文化を促進する

欧米の多くの富裕層は、多額の寄付と慈善活動を通じて社会貢献している。しかし、日本では、寄付行為そのものに冷たく、「寄付文化」がないと言われている。これは必ずしも正しくなく、潜在的な寄付者が多いにもかかわらず、寄付行為に対する税制度の規制が…

幸福度を優先する政治が求められる

経済成長の尺度であるGDP(国内総生産)は、環境悪化が進んでも、不平等が高まっても、増加する。そのため、これまでのGDPでは、幸福感に与える影響を測ることができない。ごく最近、フランスのサルコジ大統領が、GDPの計算方法を見直し、新たに長期休暇や環…

ミッションありきの社会貢献が、持続可能な社会を切り拓く

グローバル化に伴い、我が国が直面する雇用問題、少子高齢化、子育て支援、環境問題、地域活性化、教育問題、途上国支援などの社会的課題に対して、政府の施策や企業の CSR 活動だけでは、解決が困難であり、市民のNPO活動などセクターを越えた協働が不可欠…

ソーシャルビジネスを振興する新しい資本主義

名作童話「モモ」で知られるドイツの作家ミハエル・エンデは、「エンデの遺言」で環境問題、貧困、戦争、精神の荒廃など、現代のさまざまな問題にお金の問題が絡んでいると、現在の金融システムの問題点を指摘していた。つまり「パン屋でパンを買う購入代金…

民主党政権による持続可能な政策とは....

8月30日の総選挙は、事前の世論調査どおり300議席超の民主党が圧勝し、自民党の歴史的大敗で終わった。前回の郵政民営化選挙の結果をそのままひっくり返したオセロゲームのような展開であった。小選挙区制で過去最高の投票率であったことからも、社会の閉塞…

世代間格差を解消する若者の政治参加

「持続可能な社会」づくりの先進国であるスウェーデンは、政治主導によるバックキャスト手法(明確な長期ビジョンによる目標を掲げて計画的な政策に基づき社会を変えていく手法)で福祉国家を実現している。それに比べて、日本の政治・経済・社会は、混迷と…

安心社会を支えるソーシャルガバナンス

最近、安全・安心に対する関心が高まっている。日本は今や安全・安心な国ではないからである。その理由として、青少年非行、児童虐待、不可解な犯罪、ホームレスの増加、家庭内暴力、自殺など社会問題が多発していることにある。それ以上に国民が不安を感じ…

新しい市民社会を支える教育ガバナンス

グローバル化で経済社会が著しく変化し、将来の予測が難しくなっている。こうした社会環境下で、主体的に社会参加する市民性を身につけた個人を取り込んでいくことが、市民性に立脚した「持続可能な社会」づくりに貢献すると期待される。特に「公」を担う次…

持続可能な社会を支える市民ガバナンス

国連や世界各国が中心となり、グローバルおよび地域社会のレベルで、「持続可能な社会(世代を越えて環境・経済・社会の調和の取れた社会)」の実現に向けての取り組みが進んでいる。 「持続可能な社会」の実現には、環境問題、地域問題、貧困問題などのニー…

このブログについて

「「持続可能な社会」というと、環境問題がよく取り上げられる。 だが環境問題は、経済のありかたの問題でもあり、政治のありかたの問題でもある。すなわち、複雑な社会のしくみそのものが問われている。 人は生まれながらにして社会の中に投げ出されている…