コロナで壊れていく日本社会

コロナはどんな人にも感染リスクをもたらすため、社会的な立場が弱い人ほどコロナ禍の脅威に晒されることになる。

 

社会を支える「看護」、「介護」、「小売・販売」、「物流」、「公共交通機関」などのエッセンシャワーカーは安い賃金でリスクにさらされ続けている。

 

非正社員は不況になると正社員の雇用を守るために安全弁として扱われる。終身雇用にほころびが生じてセーフティーネットの網の目からどんどんこぼれ落ちてゆく。政府による新たな支え合いの政策が必要だ。

 

資本主義のもとでは、格差の拡大につながりやすいため、格差をなくす仕組みが不可欠だ。

 

コロナ禍で危機的な財政状況に陥っているにもかかわらず、不毛な法人税率の引き下げ競争を行っている場合ではなかろう。むしろ企業にも応分な負担を求めるべきである。さらには金融資産や高額所得者への課税を強化する必要がある。

 

戦後最悪の経済社会を揺るがす危機が迫って来るとき、支える経済政策を振り子のようにバランスよく変えていくべきだ。

 

ヒロシマの問題を解決するため、被爆国の日本政府は核兵器禁止条約を批准せよ

核兵器禁止条約が22日、発効した。

 

原爆開発のマンハッタン計画を推し進めた大きな存在であった物理学者レオ・シラードは、原爆開発の立役者ながら最後の最後まで丸腰状態の日本への原爆投下に反対した。

 

70年後の今日の核拡散時代を予見し、その出発点がヒロシマへの原爆投下にあったことを鋭く見抜いていた。日本に対する原爆の使用は、ソ連との原子力競争をスタートすることになるからで、日本を戦争からノックアウトするという短期的目標より、ソ連との軍拡競争の開始を避けることの方が重要ではないのかとアメリカ政府に警告をしていた。

 

ユダヤハンガリー人のシラードはナチスによる迫害を逃れて米国に渡り、核の連鎖反応を思いついたと云われており、同時期にイタリアから亡命したフェルミとともにウランが核分裂に伴う持続的連鎖反応に最適な物質であることを発見し、1942年最初に持続する連鎖反応を実現する原子炉を開発した。

 

だが戦争が続く中、シラードは自分の原爆開発が次第に自分の手を離れ米国の軍部の手に握られようになり、内心憤慨するとともにトルーマン大統領に戦争で原爆を使用させないようにという請願を試みたが、軍部に潰されてしまい、失敗した経緯がある。

 

米国軍部は戦争の終結を早めようと、二個しかない原爆を日本に投下して、さながら原爆の実験場に仕立てしまった。

 

戦後のシラードは、もし日本に原爆を投下せず、代わりに示威行為で止めていたとしたら、戦後の核兵器の世界から逃れることができたと言っている。戦後70年を経た世界が、核兵器を廃絶できない根本原因はヒロシマに対する原爆投下にある、と言っているわけだ。

つまりは、ヒロシマを解決しなければ、核兵器廃絶運動の出発点ができない、と言ってのだ。

 

心の呵責を強く感じたシラードは戦後、反核運動を積極的にリードするとともに、原子物理学を捨てて、平和的な分子生物学研究に専念した。原爆について思いをめぐらすとき、シラードの果した役割がいかに大きかったかを痛感せざるをえない。

 

今や、冷戦時代と違って核軍縮が進んでいるが、中国が中距離ミサイルを多数を保有する中、東アジアの安全保障環境が大きく変わってきた。中国も含めた軍備管理体制が必要だ。

 

核兵器禁止条約に背を向けている日本政府は、率先してヒロシマの問題を解決すべき立場であり、核軍縮にはずみを付けるように国際世論に政治的圧力を行使すべきだ。

 

 

「トランプ時代」を自ら壊し幕を引いてしまったトランプ前大統領

虚言、妄言、暴言で米国を分断し世界の秩序を混乱させたトランプ大統領は、自らの煽動演説で議事堂襲撃事件を招いて、弾劾裁判まで発展させたことであっけなく自分の首を絞める結果となった。

 

トランプ氏は何ら根拠のない不正選挙の訴えを主張しつづけて敗北を認めようとはしなかった。だが、身内であったバー前司法長官は、12月1日の大統領とのミーティングで、トランプ氏の主張する選挙不正説は「たわごと」だと強く否定していたにもかかわらずだ。ウソだと見抜いているからだ。

 

トランプ氏の最大の武器であるツイッターなどSNSを中心としたネットに依存し過ぎて政治の弊害が一挙に噴出した。どこまでも公然とウソをつき、そのウソが曝露されたら相手を嘘つき呼ばわりをする。米国をもはや合衆国でなく、南北戦争以来の分断国に陥れた。

 

その結果、ほんとうとウソが見極めることができない白人貧困層を中心とした盲信的なトランプ支持者がいまだに根強く残っている。

 

上院院内総務としてトランプを支えてきたマコーネル議員も今やトランプ大統領とは犬猿の仲であり、トランプを共和党からお払い箱にするタイミングを狙っている。彼の一言で上院のかなりの数の共和党議員が雪崩を打って反トランプにくら替えするのではと予想されており、共和党までもが分断されている。

 

上院の弾劾裁判で有罪となったら、2024年の大統領選挙には出馬できないのだ。それは

マコーネル上院議員以下の共和党がトランプ離れをするかどうかで、トランプ氏の命運を決めることになるであろう。

 

うそで塗り固められたトランプ氏は、政治の世界から永久追放すべきだ。

 

「政治の社会的責任」意識が欠落した悪夢のような菅政権

利益追求の企業にはCSR(企業の社会的責任)を果たすことが求められている。

 

しかし最も大きな組織である政府の社会的責任に目を向ければ、首を傾げざるを得ない。

 

緊急事態宣言の再発出を招いた一因に、二階幹事長の肝煎り政策である「Go To トラブル」が挙げられる。コロナ感染阻止には、人と人との接触をなくすことが肝要であるにもかかわらず、かえって人との接触を増加させてしまった。これぞ、「政府の社会的責任」意識の低さを表している。

 

菅政権のコロナ感染対策は、「二兎追うものは一兎をも得ず」の無茶苦茶な対応ばかりで、「倫理観」や「利他性」が全く欠落している。政治家だけが自由に会食が許されているわけはない。ビジネス往来の水際対策も甘すぎるし、徹底して抑え込みの姿勢でやらず、目的とメッセージがバラバラである。

 

菅政権は自分たちにとって利益になる方向性しか選択しないため、社会的責任の取り方を全く理解できない政治集団が政策展開していると、それがもたらす災禍は恐ろしいものになる。国家管理が後手後手だけでなく、場当たり的でちぐはぐである。

 

有能なリーダーは、やりたいことから始めるのではなく、いまやるべきことに集中するというピーター・ドラッカーの有名な定義からしても、菅首相はやりたいことから始めている。原稿の棒読みすら正確にできず、読み間違い連発である。一国の宰相にふさわくないのは歴然としている。コロナ対策にも全く危機感がなく、余りにもお粗末な対応ばかりで自爆している。もうただのポンコツおじさんにしか過ぎない。

 

「政治の社会的責任」意識が完全に欠落し、場当たり的な対応でコロナ対策に失敗した菅政権は、即刻退陣すべきだ。このままだと「悪夢のような菅政権」と呼ばれかねません。

 

 

小池都知事の責任転嫁的言動が感染拡大を招く

コロナによる死者が9日、4千人を越えた。3千人を超えた昨年12月22日から20日足らずで1千人増えたことになり、感染拡大で死者の増加ペースがさらに早まった。

 

新規感染者の急拡大に渋々、緊急事態宣言を発出した菅首相であるが、その一方で管首相と意地を張り合う中で時間を浪費させた小池都知事にも非があった。

 

北海道の鈴木知事は11月26日から、営業時間短縮だけでなく、札幌市内の接待を伴う飲食店に12月25日まで休業要請し、大阪府の吉村知事も飲食店など11月27日から夜9時までの時短徹底を求めたのに対して、一方で小池都知事はどうであったか。

 

酒を出す飲食店の営業時間を夜10時までとするにとどまっていた都に対し、政府の分科会から夜8時までの時短要請を求められてきたが、小池氏は「現実は厳しい」と応じなかった。

 

危機の重大局面でも小池都知事は、政府と協調するどころか、政治的な駆け引きに持ち込んだ。それだけではなく、小学校の教室に貼るようなスローガンばかり作り、無為無策の都政にしてしまった。

 

菅首相がGoToトラベル全国一斉一時停止を決めたのは12月14日で、政府の分科会が感染拡大地域について「一部地域の除外」を最初に求めた11月20日から約1か月も経過していた。

 

その理由として、菅首相が経済に対する強い思いが政策を止める判断を鈍らせたこと。もうひとつは、大規模感染の中心地である東京都は真っ先に「除外」の対象となるべきなのに、国と都が「両すくみ」に陥って議論が進展しなかったことだ。

 

分科会の提言を受けた菅首相が「まずは知事に判断していただく」と述べると、大阪府や北海道は即座停止に応じたが、東京都の小池知事は「国が判断すべき」と繰り返し、政府に決めさせる構図にこだわりつづけた。

 

12月1日小池知事と菅首相のトップ会談の直後に「65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人に利用自粛を呼びかける」という合意がなされたが、全く非科学的な内容を平然と打ち出した。

 

若い人の移動が感染を拡大する要因になっているにもかかわらず、さして移動もせず2次感染を起こしてもいない高齢者を止めるのは、原因と結果を取り違えるトンチンカンな選択だった。

 

この間、北海道と大阪は感染者数が減少に転じ、逆に東京は感染拡大してしまった。小池都知事のコロナ対策が後手後手であり、そのパフォーマンス優先の責任転嫁的言動が1都3県の緊急事態宣言を招いてしまった。

「クーデター未遂事件」のポピュリストトランプ大統領、遂にアウト!

根拠のない陰謀説を信じたトランプ信者による米連邦議会襲撃事件は、民主主義の下で行われた選挙結果を覆すためのトランプ大統領による「煽動」と「クーデター」未遂事件であったが、民主主義のお手本の国が世界中の恥さらしになった。

 

大統領とトランプ一族はことの重大性がわからず、この地獄絵を安全な場所にテントを張って高みの見物をしていたそうで、議事堂占拠を眺めていたトランプ大統領は州兵も出さないため、鎮圧の州兵を派兵したのはペンス副大統領で、非常事態宣言と夜間外出禁止命令を発出したワシントンDCの市長であった。この間に陰謀説の嘘八百の毒を信じたトランプ信者4名が死亡した。

 

国民と直接コミュニケーションを取り、国や社会の内部に敵をつくるポピュリストであるトランプ大統領の行動様式は、中南米によく見られるもので、ベネズエラのチャベツ前大統領やブラジルのボルソナーロ大統領などのポピュリストと同じである。トランプ大統領の登場で、米国はラテンアメリカ化してしまった。国民と直接つながるために、批判的なメディアを排除することが、ポピュリストの重要な要素になっているからだ。

 

議会下院の民主党は、前代未聞の事態について11日にもトランプ大統領の罷免を求める弾劾訴追の決議案を提出する見通しである。ただ、トランプ大統領の任期は20日で終わる上、上院多数派の共和党が反対するため、実際に罷免される可能性は低いが、政権交代前に情勢は緊迫している。

 

怒り心頭の民主党ペロシ下院議長は、「不安定なトランプ大統領が軍事行動を主導したり、核兵器を使った攻撃命令を出すことを防ぐためとして、ミリー統合参謀本部議長と協議し、「錯乱したトランプ大統領による攻撃から米国民を守るため」にあらゆる措置を講じる必要あると報道された。米国では大統領が核兵器を使うと決めれば、法的に核のボタンを押すことを制限できないらしい。

 

さらにトランプ大統領ツイッターで「7500万人の愛国者よ」と呼びかけ、バイデン次期大統領就任式に欠席すると表明したが、就任式での暴力行為を企てている者を後押ししかねないことから、ツイッター社はトランプ大統領のアカウントを永久停止した。これに対し、トランプ大統領は「近い将来、独自のプラットフォームを立ち上げる可能性を検討している。我々は沈黙しない」とする声明を出した。どこまでもポピュリスト大統領には、ソーシャルメディアが欠かせないのだ。

 

バイデン次期大統領は「彼が来ないことはいいことだ。彼はこの国にとって恥ずべき存在であり、世界中でわれわれに恥をかかせた」と述べていた。

 

ポピュリストのトランプ大統領はやっと退場するものの、2024年の大統領選に向けて新しいメディアを使って5000万人の信者を集めた「トランプ王国」の建国宣言をするのではと言われている。今しばらくはこの扇動政治家ポピュリストの挙動から目を離すことはできない。

鈍い判断力で次々劣化しつづける菅首相

緊急事態宣言が7日に発出されることになった。小池都知事らに押し切られて挙げ句の果てである。

 

余りも遅すぎる。政府のコロナ対応は、見通しが甘い上に動きが鈍すぎからだ。

 

宣言を出しても、感染者が減少する見通しはない。特に感染者数の多い若い世代は、コロナに恐怖心を持たないため、無症状の若者が自粛せずにいると人の動きは止まらない。

 

ガースー首相は事態が深刻になって、対応が行き詰まっているのは誰の目にも明らかなのに、なかなか方針を変えない。

 

すべてが後手後手の末である。

 

周囲にうつさないという利他心に訴えるメッセージが必要なのに、それすらもやらない。

 

一国のリーダーであるにもかかわらず、鈍い判断力で次々劣化し続けていたら、お先真っ暗である。

 

もはや一国のリーダーとしての姿はなく、劣化したただのおじさんのイメージしかない。

 

日本学術会議の任命拒否問題で、「不気味なおじさん」に、ガースーですの自己紹介で「気持ち悪いおじさん」に、8人会食で「ずるいおじさん」に、GO TO トラベル一時停止で「優柔不断なおじさん」に、阿倍前首相の虚偽答弁問題で「嘘つきおじさん」と、どこまで劣化しつづけるのか。