岡田ジャパン、生き生きとプレーしろ

W杯日本代表の1次リーグ予選突破は、極めて厳しいため、サポーターの注目度も低い。

ベスト4を目標とする岡田ジャパンは、韓国に今年、2回も完敗して攻撃が機能不全に陥っている。チームの弱点であるカウンター対策のあまり、持ち前のパス回しが消え、連係プレーがバラバラでゴール前に向かっておらず、W杯直前になっても組織として機能していない。戦術すら理解していない選手も見られる。

岡田監督は、コンタクトを避けて素早くパスし、ゴールを目指すというが、突破力のある選手はなく、前に動いていない。選手一人ひとりが、ゴールを目指し、速やかに立て直す精神的なタフさが欠けている。

岡田ジャパンは、最近の不振続きで迷走している。戦術面では単調な無駄走りが多いため、後半にスタミナ切れ、そして失点に繋がってしまっている。自分たちの運動量を増やして相手を上回ろうと、ハエのように執拗に頑張るだけでは限界がある。非効率で相手の裏を掻く駆け引きがない。

高地のW杯となる南アフリカは、空気の低酸素環境で体に負荷がかかるため、90分間をフルに走れる選手が走りきれなくなる。運動量が生命線の日本代表にとって過酷な環境である。

パス回しは良いが、ワンタッチを多用し、縦パスやスルーパスによる縦への素早い攻撃も大事だ。無理に中盤でボールを回しても速いプレスに潰されてしまう。プレスされる前に、サイドを走らせるロングボールや、サイドからの仕掛けなど、多彩な攻撃のバリエーションが必要だが、前線に放り込んでボールが収まる選手がいないため、攻めきれていない。

またゴール前20メートルまでのパス回しは素晴らしくても、シュートを放って枠を外すことが多く、相手チームに脅威を与えない。ゴールが近くなるほど集中力が必要であるのに、ゴール前で一瞬に見せる勝負強さがない。ゴール前で仕掛けられず、バックパスばかり目立つ。突破を仕掛ける選手、その選手に動きを察してパスを出せる技術の選手がいないと打開できない。

岡田ジャパンは、こうした決定力がないため、ショートパスをつなぐスタイルで90分戦うのは、無理であり、守って、守ってカウンターアタックで得点を取るしかない。そのためにも、味方の選手が押し上げるまで前線でボールをキープできるワントップが重要で、ゴール前で勝負できるようにもっていくことが大事だ。

日本の選手はふかしても、オランダの分厚い攻撃陣の中心FWロッベンやMFスナイデルは、卓越したシュートを決める。ロッペンは足一本でのドリブルで、スピードを緩めない直線的な仕掛けができる。岡田監督がロッベンは大変な選手と危機感を持っているほど、超高速のドリブル&カウンターによる破壊力がすごい。切れ味鋭いドリブルと正確なクロスがロッベンの特徴だ。絶好調のロッベンを誰も1人では止められない。布陣をコンパクトに保ってスペースを作らせないことが必要だ。

スナイデルはうまさと力強さがある。トップ下から前線へ決定的なパスを供給するだけでなく、一瞬の隙を逃さず強烈なシュートを放つ。デフェンスを完全に崩さなくても、シュートを的確に決めてしまう。

デンマークは欧州予選でポルトガルスウェーデンの強豪国を押しのけて1位になった堅守が売り。またベントナーら前線を生かした素早いサイド攻撃の威力もある。結構タフなチームだ。

初戦の相手カルメルーンは精彩を欠くが、インテル・ミラノで欧州クラブ王者になったFWエトーが復調してきた。すべての問題を吹き飛ばす一撃の威力がある。

岡田ジャパンは、運動量で頑張るだけでは限界があるため、理にかなった戦術に徹底したほうが良い。そして自分の判断でリスクを負って、生き生きと攻める姿勢がほしい。W杯でベンチに助けを求めるような姿は願い下げだ。

今回のW杯は、世界最高の選手に称えられるアルゼンチン代表選手「メッシの大会」と言われている。マラドーナ二世と呼ばれるメッシの高速ドリブルは、0.2秒で2回もボールにタッチできるダブルタッチのため、ボールが体に密着している。

メッシは幼い頃、成長ホルモンの分泌異常で成長が遅れる病気で、小柄なハンディキャップを克服するため、ドリブルを磨きかけた。「難病の子どもたちの役に立ちたい」との思いは人一倍である。メッシのブログは、最初、日本語版から始めたほど、日本のファンを大事にしている。個人的にも、メッシの黄金の足で活躍するところを見てみたい。