事業仕分けの本丸は特別会計だ

行政コストを削減する目的で公務員改革が叫ばれて久しい。

ようやく天下りや税金の無駄遣いの温床とされる独立行政法人(独法)と政府系の公益法人に対し、事業仕分けによるメスが入った。独法の改革は、公務員改革の入り口に過ぎない。

民主党マニフェストで、独法は「全廃を含めた抜本的見直し」、公益法人は「原則廃止」、国家公務員は「総人件費の2割削減」を約束した。だが、公務員労組の支援を受ける民主党政権の本気度が問われている。事業仕分けは、納税者の参加意識を高めることから、単なるパフォーマンスで終わらすべきではない。

天下りは、政官業の癒着を招くため、税金の無駄遣いと不正の温床となっている。独法の中には、委託された業務を再天下り先となる公益法人やファミリー企業に随時契約で仕事を流し、割高な経営をしているところがある。

独法は、国から運営費を出してもらって、省庁からは仕事をもらい、公務員と違って給料を自分たちで勝手に決められるのだ。

また省庁―独法―公益法人と、いわゆる「渡り」を繰り返し、多くは天下り先の報酬に加えて2回以上の退職金を受領し、中には、4重取りした省庁OBもいるという。公務員は、よく税金泥棒と言われるが、税金泥棒どころか、国民の信頼を裏切り続ける盗賊集団ようだ。

さらに労働組合の強い省庁では、ヤミ専従が行われており、税金が横領されていても刑事告発できない。他国では立派な重罪犯罪であるのに、日本は、未開発国と同様、公務員が好き勝手に税金を横領している国である。国民の血税が、いつまでも無駄遣い・天下り・渡り・横領などに使われ続けている。

公務員給与も民間に比べて高すぎる。官民格差解消のため、公務員給与を民間平均年収430万円にするだけで 国と地方の公務員人件費が10兆円以上の歳出削減ができる。 それに、官僚OBの天下り・渡りに使われる年間10兆円以上の税金支出を全廃すれば、 公務員人件費削減分と合わせて合計20兆円以上の歳出削減ができる。

国の財政赤字で、借金となる赤字国債発行額を積み上げないためにも、無駄遣い・天下り・渡りなどの関連費用は大幅に削減すべきである。

これまでの事業仕分けは、「一般会計」の予算が対象であったが、「特別会計」の予算は、「一般会計」の規模よりもっと大きい。2010年の「一般会計」予算は92兆円で、これに対して「特別会計」予算は、381兆円で4倍規模だ。歳出純計は、176兆円にもなる。「特別会計」は、「一般会計」以上に天下り放題で、無駄遣いの温床になっている。

そもそも「特別会計」は、各省庁が特定事業を行うために設けられた目的限定の会計で、原資は税金や保険料である。「特別会計」は戦後復興期から高度経済成長期に設けられたものが多く、すでに役割を終えているものがある。「特別会計」は、全廃を前提とすべきである。

しかし「一般会計」と違って国会のチェックが甘いため、所管省庁は好き勝手に使い、余剰金を貯め込んできた。ここから天下り先の独法にも予算が回されている。「特別会計」のおかげで公務員が甘い汁を吸い、デタラメがまかり通っている。

JAL破綻で注目を集めた空港整備の特別会計などは、典型的な悪例である。「特別会計」でムダな空港を造り続け、族議員は空港建設で業者に利益を誘導し、官僚OBは関連団体に天下っている

特別会計」の闇にこそ、事業仕分けのメスが、斬り込んで行くべきである。