同じ過ちを繰り返す日本社会の構造的欠陥

今年は、猛暑が続く暑い夏になったが、家庭や企業などの節電効果で関西や九州などで計画停電は一度もなく、全国的に電力に余裕があるという。節電を続ければ、大飯原発3、4号機を再稼動させなくても、関西電力以外から電力を融通するだけで足りるとし、原発…

小沢新党に見る国会議員の幼児性

小沢新党(国民の生活が第一)に対し、多くの国民は期待や魅力など全く感じない。「反増税と反原発」の国民感情を利用した選挙目当ての騒動で、ご都合主義としか思えないからだ。 小沢氏に常につきまとうのは、「権力、カネ、政局」である。権力でカネを集め…

原発プルトニウムに依存する日本社会

「脱原発依存」への中長期ビジョンを示さないまま、野田政権は、暫定的安全基準で、「電力危機」を理由に原発再稼動を決定した。原子力ムラ(官僚・政財界の利権集団)の完全復活であり、また原発依存社会に戻ってしまった。 日本の歴代政府が、「原発の平和…

借金民主主義の破綻

「反緊縮財政」の世論を受けて、ギリシャは、政治混乱となり、ユーロ離脱が現実味を帯びてきた。ギリシャがユーロ離脱をすれば、南欧諸国にも波及し、ユーロ崩壊となる。世界経済は、リーマンショック以上の深刻な世界恐慌となり、大量の失業者を生み出す。 …

くじ引き民主主義が政治を変える

「天下国家」しか考えていないという小沢一郎は、裁判で最初から最後までウソを貫き通し、無罪となった。検察による虚偽調書のおかげである。「疑わしきは被告人の利益」で、限りなく有罪に近い無罪判決であった。決して潔白が証明されたわけではない。「天…

贈与経済が創り出すソーシャルデザイン

先日、亡くなった吉本隆明氏は、アフリカには、人間の暮らしの原型があり、贈与が世界を平等にすることから、「地球規模での贈与経済を考えなくてはならない」と、「贈与経済」の必要性を説いていた。 「贈与経済」とは、モノとモノ、或いはモノと貨幣を等価…

政治不信を招く消費税論議

世界各国とも、財政赤字にあがき、その隙を国際投機筋が虎視眈々と狙っている。 市場は、肥大化し巨大なモンスターとなり、コントロールできなくなっている。モノやサービスなど実体経済以上に、市場に溢れたマネーが、少しでも高いリターンを得ようと世界中…

虚構社会の成れの果て

世界経済や政治、社会は、すべての面で、すぐ崩れる砂上の楼閣になっている。 財政破綻は、必至で、貧富の差も世代間の格差も広がり、深刻な原発事故も起きてしまった。 「原発安全神話」は、一夜にして崩壊したが、長きにわたって危うさを見落とし起こるべ…

プラス・サムの公益資本主義

ギリシャ危機がイタリアにも飛び火し、ユーロ圏各国は、債務危機に陥っている。リーマン・ショック以上の金融危機になる可能性がある。 世界中の政府の過剰債務が、深刻になっているからだ。市場資本主義による世界経済は、迷走の歴史を繰り返している。 米…

政治の混迷は、民主主義の欠陥

米国の債務不履行(デフォルト)をめぐる米国議会の機能不全で、世界経済が行き詰まっている。 債務不履行の破局に陥る瀬戸際で合意が成されたが、格付け会社スタンダート・プアーズ(S&PS)が、米国国債を格下げしたため、世界経済の失速を加速させた。…

原発エネルギーの時代は終わった

原発を全面停止すれば、電気が足りなくなり、電気代も値上げせざる得ないことから、原発が必要だと主張する人々が多いが、果たしてそうであろうか。 火力の稼働率45%を、65%以上にすれば、原発が全面停止されても、電気はむしろ余る。 日本で発電される電気…

解決策のないリスク社会

原発は安全でクリーンでないことが一夜にして明らかになった。 原発事故というブラック・スワンは、メルトダウンという制御不能な結果をもたらした。これまで国は、原発事故になる確率が「隕石が当たって死ぬ程度の無視できる大きさ」だと主張していたのが、…

原発が核兵器になる時

福島は、広島、長崎の後を追うように世界の共通語になった。原子爆弾の被爆国である日本が、原発事故という新たな形の放射能の恐怖に襲われたのは、悲劇的な巡り合わせとしか言いようがない。 原子爆弾は、放射能に加え、高熱や爆風を放つため、その破壊力は…

国難より政局が第一の小沢一郎

この非常事態に、小沢一郎が野党の菅内閣不信任案に賛成する倒閣運動に乗り出した。 菅内閣や与党だけで、震災や原発事故に対応できるとは、国民の誰しも思っていない。だからこそ、与野党が協力して国益優先で対応してもらいたいのに、国難より「政局が第一…

ソーシャルメディアが社会的課題を解決

「3.11」後、日を追うごとに被害の影響が広がる東日本大震災。戦後最大の難局が日本社会を襲った。日本は立ち直れるのか。そうした不安や恐怖心が広がっている。 地震、津波、原発事故と複合した巨大災害が今、市民社会の意識を変えつつある。絶えず変わ…

原発事故は、安全神話による人災

3月11日以降を生きる我々にとって、世の中は以前と全く違ったものに見える。巨大地震と大津波は日本にとって戦後最大の災害となった。さらに福島第一原発の危機、大規模停電の可能性、株の暴落と重層的な危機が日本を襲っている。 大震災の惨状に追い打ち…

性悪説社会の勧め

京都大学などの入試問題が、試験中にネット掲示板に投稿された事件は、新聞の一面で取り上げられるほど、社会的反響が大きかった。 ネット社会が発達した今、考えなくても覚えなくても、ネットの質問サイト「ヤフー知恵袋」に投稿すれば、第三者が教えてくれ…

幼児化する日本社会

「国民の生活が第一」で政権交代を実現した民主党が、「党内政局が第一」で、自壊の途にある。 国民生活に直結する来年度予算がかかっているときに、党員資格停止処分にされた小沢一郎を慕う小沢系議員16名が、造反した。離党せず民主党会派だけ離脱すると…

社会を変える情報交換システムになったフェイスブック

チュニジアの独裁体制を打倒した市民デモの動きが、エジプトにも波及し、ムバラク大統領の辞任まで追いつめた。民衆を動かしたのは、インターネット上の世界最大のソーシャルネットワークサイト、「フェイスブック」だ。 「フェイスブック」やツイッターが、…

タイガーマスク運動の輪が広げる寄付社会

タイガーマスクの伊達直人を名乗る寄付運動が社会現象化している。 善意のタイガーマスク運動は、日本全国で盛り上がりを見せていることから、今年は、寄付が日本社会に広がる「寄付元年」になるとも言われている。 どうしてここまで広がったのか。人を助け…

政党政治はもういらない

自殺者数が13年連続で3万人を超えているにもかかわらず、国会は、避けては通れない難題に真剣に取り組むどころか、党利党略に堕している。 政権交代しても、首相が交代しても、政治はもたつくばかり。今の政治にウンザリだ。腰の定まらない民主党政権の「…

縮んでいく日本

町工場が、日本は仕事ないと続々と中国へ進出している。 政府の経済政策の混乱は見るに堪えない。バブル崩壊後20年も経済が停滞基調にあり、デフレが長期にわたり続いているのに、そこから脱しようという覚悟が、政府の政策に見えない。国の借金財政で、早…

国会議員の顔ぶれに多様性を

参議院が、政局の府になってしまった。 臨時国会は、徹底した議論を通じて合意を見出す「熟議の国会」ではなく、党利党略・個利個略の「物議の国会」で終わった。国民が望む国会の姿ではなく、自滅的な混乱に陥っている。 国民の税金が使われている国会議員…

雇用減税で、雇用創出せよ

デフレが止まらない。デフレがさらにデフレを呼んでいる。国内需要の低迷が一層深刻化しているからだ。 大規模な財政出動や金融緩和で、内需を増やそうとしても、企業の生き残りをかけた値下げ競争は激しくなるばかり。企業が値下げ競争せざるを得ないのは、…

政府のリスク管理は穴だらけ

尖閣ビデオのネット流出は、政府のずさんな危機管理を暴露し、ネット社会の新たな現実を突きつけた。ネット社会では、「国の機密情報」と「国民が求める知る権利」との境界線がぼやけてしまったからだ。 情報の透明性や説明責任が問われる時代に、「外交上の…

TPP参加で農業を再生せよ

政府が検討するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加を巡り、賛否両論に割れて大騒ぎとなったため、参加の可否についての結論は先送りとなった。 TPP参加に反対する農水省は、農業生産額が年4兆円も減り、コメ農家がほぼ壊滅するという試算を出した。これ…

生物多様性を守るのは、企業の責任

今、破壊的な勢いで生物多様性が失われている。最大の原因は、資源や原料を得るために世界各地で広がっている乱開発である。 人間の経済活動は、生物多様性や生態系サービスに依存しているため、すべて人と企業の問題である。自然環境は、人類全体にとって成…

貧困ビジネスや悪徳商法は、政治の怠慢

「無縁社会」の広がる中、貧困が深刻化する社会の歪みを背景に、「貧困ビジネス」が蔓延している。 「貧困ビジネス」は、社会的弱者の味方を装いながら、生活困窮者を食い物にするハイエナ・ビジネスだ。 賃金業法の改正に伴い、貸し渋りや多重債務で融資を…

民意が、検察権力の上に立つ新しい時代

小沢一郎が、国民を代表する検察審査会によって強制起訴された。国民の判断によって政治家が強制起訴されたのは、初めてのケースだ。「政治とカネ」の不透明さにうんざりしている国民感情からすると、今回の強制起訴は、社会の進歩である。検察審査会による…

信頼を失った中国、お粗末な日本

尖閣諸島沖の漁船衝突事件で、中国は外交的勝利に浮かれているとしたら、大きな間違いだ。真の勝者は中国ではない。中国は国際社会に対して大きなマイナスを背負ってしまったからだ。 やられたら、やり返すという高圧的な中国に対し、日本国民は不信感と警戒…