2010-01-01から1年間の記事一覧

運用がデタラメな郵貯マネー

日本の郵政改革法案に米国と欧州が猛烈な勢いで抗議している。 郵便貯金の預入限度額の引き上げなどを実施すれば、民間との競争条件が不公平になることから、米通商代表部(USTR)がWTO(世界貿易機関)協定違反として日本政府への圧力を強めている。新たな…

医師不足、看護師不足の医療崩壊

海外では診療ができる看護師資格の導入が広がっている。医師不足による医療崩壊の日本でも、厚労省が、高度な医療行為ができる新資格「特定看護師(仮称)」の導入を検討しており、モデル事業での検証がスタートする。 医療崩壊を食い止めるには、医師不足の…

選挙至上主義の政治で国は機能不全

八方美人の言動が多く、稚拙なやり方ばかりで迷走する鳩山首相は、普天間問題の5月末決着が絶望的になったことから、風前の灯である。 直面する問題に対して何ら戦略も見通しもないのに、口先だけの綺麗事ばかりで無責任な「お坊ちゃん政治」に国を任せたの…

派遣法改正案は抜け穴だらけ

この国は、まともに派遣労働をつくる気はないらしい。 市場経済のグローバル化で企業が生産拠点を海外に移した結果、正社員であった層の3分の1が、不安定な非正規雇用の派遣労働者に置き換わってしまった。 経済変動の激化に派遣労働が必要であるなら、あお…

事業仕分けの本丸は特別会計だ

行政コストを削減する目的で公務員改革が叫ばれて久しい。 ようやく天下りや税金の無駄遣いの温床とされる独立行政法人(独法)と政府系の公益法人に対し、事業仕分けによるメスが入った。独法の改革は、公務員改革の入り口に過ぎない。 民主党のマニフェス…

マネーの哲学:金融危機後、変わるお金の流れ

お金は、本来、モノや労働など互いに必要とするものを交換する手段として使われていた。 だがお金は、財産や資産の機能を持っているため、溜め込まれと流通しないお金になってしまう。 またお金には、金融や株式市場を通じてやりとりされる資本機能も与えら…

ゲイツ原発は必要なのか

地球温暖化の懸念や原油価格の高騰で、再注目されるようになった原子力発電。CO2削減という口実により、世界中で原発増設のラッシュが続いている。 主要8か国(G8)に中国、インド、韓国を加えた11か国による2008年の「青森宣言」以来、多くの国が原発推進に…

沖縄密約判決と情報公開制度見直し

沖縄返還に絡む「密約文書」の全面開示を国に命じた東京地裁判決は、画期的であった。 「密約文書」は、米国が負担すべき米軍用地の原状回復費用400万ドルを日本側が肩代わりした事実を示す文書をはじめ、国民の血税を不当に支出した「背信行為」を裏付ける…

NPO税制が来年度から大幅拡充

教育や街づくり、福祉などを担うNPO法人の活動を支援する「寄付税制」が、来年度から大幅に拡充される。 「寄付税制」の見直しがようやく始まった。新たな目玉として「税額控除」が導入された。 国が認定したNPO法人に寄付した額に応じて、一定額を所得税か…

無縁社会と暴走する世間

家族や地域、会社などの「縁」をことごとく失って孤立し、人知れずに「無縁死(孤独死)」する人たちが増えている。今、個々の人がばらばらになった荒涼とした風景が日本社会を覆っている。 日本社会を形成してきたさまざまな「絆」が断絶し、深刻な「無縁社…

地球温暖化対策基本法がザル法になった

地球温暖化対策基本法は、官僚・産業界・労働組合による猛烈な巻き返しで骨抜きにされ、いまや見る影もない。 地球温暖化防止は、我々の世代が将来世代のためにやらなければならない課題である。 民主党政権は、マニフェストでキャップ・アンド・トレード方…

新薬価制度でドラッグ・ラグは解消しない

薬害と並ぶ「ドラッグ・ラグ」問題は、日本の薬事行政の機能不全が原因となっている。 「ドラッグ・ラグ」の改善を目指して、患者が声をあげ、国もようやく本格的に取り組みを始めた。この4月から新しい薬価制度による「壮大な社会実験」がスタートする。 厚…

個人が過重なリスクを背負う社会

国民の幸福度を表す指標づくりが最近、注目されている。 国の豊かさというと、「国民1人あたりGDP(国内総生産)」で測られることが多い。 GDPは、人間の幸福に役立つ、役立たないに関わらず、あらゆるモノの生産や流通を単に合計しただけである。さまざまな…

借金1千兆円で日本破綻

巨額の財政赤字を抱える日本は、財政危機に陥っているギリシャの比ではない。 日本の財政悪化に拍車がかかっている。財政赤字は、先送りしているとさらに大きくなる。今のままだと、10年もたない。その先待っているのは、日本国の破綻である。国家の破綻は決…

格差社会とシルバー資本主義

犬が「モノ扱い」でなく、生き物としての社会的価値が認められた初めての判決が先日、名古屋地裁であった。 盲導犬サフィーがトラックにはねられて死んだ事故をめぐり、犬を訓練した盲導犬協会が訓練費用などの損害賠償を求めていた裁判で、名古屋地裁は、障…

民意を集約する熟議民主主義のすすめ

「熟議民主主義」が最近、注目されている。 熟議とは、「熟慮し議論する」ことである。自分の意見を明確に述べるとともに、他者の異なる意見にも耳を傾け、一部のリーダーの判断で決めるのではなく、大勢の声を聞いて熟慮と討議を重ねながら合意形成を目指そ…

PIGS問題に見る金融業界の品格

世界金融危機の激震が未だに収まらない。 サブプライムローンの破綻から、リーマンショックによる世界同時不況、さらにはドバイショックを経て、今度はギリシャが財政破綻の危機に瀕している。ギリシャを含む「PIGS」諸国の財政危機が、今また世界経済を揺れ…

「古い公共」より「新しい公共」を

NPOというと、日本では、善意と熱意に溢れる人たちが手弁当で集まって行う零細事業というイメージしかない。 NPO活動や市民活動団体を担う市民セクターは、小さな団体がほとんどで、むしろ個人やサークル活動に近く、非常に狭い活動範囲で行われている。大半…

格差社会をなくすには、子ども手当よりベーシック・インカムを

民主党の目玉政策である「子ども手当」が、財源不足で満額支給を見送る可能性が出てきた。 そもそも、子ども1人に月額2万6000円の高額支給は、何を根拠に決められたのだろうか。当初は、配偶者控除と扶養控除の廃止で増える税収を子供の数で割った1万6000円…

サリンジャーと大人になりきれない若者たち

世界中の若者の心をつかんだ永遠の青春小説『ライ麦畑でつかまえて』で知られる、謎に包まれた伝説的作家J・D・サリンジャーが亡くなった。 『ライ麦畑でつかまえて』は、自意識過剰で大人になるのが嫌という若者像を初めて描いた作品であった。この本が出版…

「失われた20年」が「失われた30年」に

日本は「失われた20年」がさらに続き、新たな「失われた30年」に突入した。先進国で日本だけがデフレ経済が続いており、物価が下落している。 物価が下落するのは、消費者物価全体の半分を占めるサービス価格が下がっているからである。サービス価格には賃金…

トヨタのリコール問題と安全文化の構築

品質と安全で世界一になったトヨタ自動車が、「逆風」にさらされている。国際競争力の基盤となる「安全への信頼」が揺らいでいるからである。 米国や中国、欧州で、主力車種のアクセルペダル関連部品に絡む欠陥問題が続出し、大量のリコール(無料の回収・修…

求められる持続可能なディーセント・ワーク

年末年始に、住居を失った失業者に宿泊場所や食事を提供する公設派遣村が開設された。昨年と違い、政府が主導する貧困者支援策として各自治体で実施された。政府は派遣労働者の不安定な雇用を改善しようと今、動き始めている。 労働は単に働いて賃金を得るだ…

マイケル・ムーアが暴く米国のプルトノミー社会

マイケル・ムーア監督の怒りの告発映画である「キャピタリズム~マネーは踊る~」が、多くのマスメディアに取り上げられている。テレビでも新聞でも報道されないアメリカのすさまじい搾取社会の実態が映し出されているからである。 住宅ローンが払えなくなっ…

ゲゼルと持続可能な経済

地域社会の発展に貢献する地域通貨は、童話作家エンデの「エンデの遺言」がきっかけで、日本中に広まった。今では地域通貨のバリエーションが広がり、地域経済の活性化や介護福祉、様々な社会貢献活動などにはなくてはならない存在となっている。 地域通貨は…

生物多様性の保全がビジネスを支える

人間の生活や経済活動は、生物や生態系、遺伝子資源などの「生物多様性」の恩恵によって支えられている。また水や食料、木材、気候の安定など、自然の恩恵となる「生態系サービス」は、人間生活にとって不可欠な社会インフラである。「生態系サービス」が劣…

失敗に学ぶ文化への転換が持続可能な教育につながる

「ゆとり世代」の若者は、小学校からゆとり教育を受けてインターネットや携帯電話など新しい情報インフラの環境下で育ってきたことから、価値観や行動がそれ以前の世代とは大きく異なっている。「ゆとり世代」の特徴は、「まじめだが失敗を極端に恐れ、間違…